
「まだ判断できない」「今は落ち着いて様子を見たい」
──そうやって“動かない”時間が続くことがあります。
でも、経営者が止まっているとき、現場もまた、止まっています。
静かにしているつもりでも、
実は何よりも強く、“何もしない”という影響を与えているのです。

どんなにビジョンが明確でも、
どんなに事業に熱量があっても、
経営者の「言葉」が軽ければ、信頼はついてきません。
経営者の言葉には“組織を動かす力”があります。
だからこそ、どんな言い方をするか、何を伝えないか──そのひとつひとつが、信頼の積み重ねにつながりま
す。

「この人には頑張ってほしいから」「あの人は言いにくいから」──
そんな気持ちを優先して運営していると、いつの間にか感情ベースの組織になってしまうことがあります。
人を大切にする気持ちは必要ですが、**経営に必要なのは“再現性のある仕組み”**です。
好き嫌いで揺れる体制では、継続的な信頼は築けません。

一緒に働くスタッフに対して、「価値観が近いから大丈夫」「気が合うから安心」と感じるのは、自然なこと
です。
けれど、そこに甘えがあると、無意識に“自分のように動いてほしい”という期待を押しつけてしまうこともあ
ります。
仲間意識は大切ですが、スタッフは“経営者の分身”ではありません。

事業が少しずつ広がり、「そろそろ誰かに手伝ってもらおうかな」と思ったとき。
そこには、“人を雇う”という選択が出てきます。
でも、雇用は単なる業務の分担ではなく、誰かの時間と人生を預かる責任が伴います。

「時間や場所に縛られない働き方がしたい」「もっと自分らしく働きたい」──
そんな想いから起業を選んだ方は多いはずです。
けれど、“自由”という言葉の裏に、都合の悪いことから目をそらす甘えが潜んでいないか、一度立ち止ま
って考える必要があります。

事業が軌道に乗り始め、「代表」としての肩書きを持ったとき。
そこから求められるのは、“決断を下す人”としての自覚です。
とはいえ、実際には「現場の声を聞いてから」「もう少し様子を見てから」と、判断を先送りにしてしまうケー
スも見られます。
けれど、“決めない”という選択もまた、経営にとってはひとつの責任なのです。

「早く収益化しなきゃ」「稼げないと意味がない」──
起業を考えるとき、そんなプレッシャーに追われてしまう人は少なくありません。
けれど、“すぐ稼ぐ”ことだけが正解ではないということを、忘れずにいたいものです。

「SNSで目立つのが苦手」「自己アピールに抵抗がある」
起業準備中、多くの人が“発信”という言葉にプレッシャーを感じています。
けれど、発信が得意=起業向き、とは限りません。
むしろ、“発信が苦手”な人だからこそ持っている強みもあるのです。

「起業したいけど、家族や友人にどう伝えたらいいか分からない」
「応援されなかったらどうしよう」──
そんな気持ちから、誰にも言えずに一人で抱え込んでしまう方も少なくありません。
でも、本当に大切なのは“理解されること”より、“自分の軸”を持つことです。